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タイトル
  鬼武者鬼武者 小説  
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  第什話 『終局』  
 

 

「ちっくとここで一服しましょう」

源吉は山道の脇に木陰になった小さな草地を見つけ、左馬介たちをそこへと促した。

三人は向かい合う形で腰を下ろしたが、源吉は左馬介たちに遠慮しているのか、

彼らから少し離れて座っていた。

「はい、左馬介」

かえでは竹水筒を取り出すと栓を取り、それを左馬介に差し出す。

「すまん」

左馬介は水筒を受け取ると、喉を鳴らしながら身体に流し込んだ。

「いやぁ、それにしたち暑いやかなぁ」

源吉が懐から手拭いを出し、顔の汗を拭き始めた。やはり、目だけは篭手の方に向いている。

本人は手拭いで上手く隠しているつもりのようだが・・・。

左馬介が中身を半分ほど残して竹筒をかえでに返すと、

彼女はそれを手に取りながら

「ほら、また見ているわよ」

と小声で呟き、目線で源吉を指した。

やれやれとでも言うように左馬介が溜息をつくと、かえでが微笑みながら小さく頷いた。

見せてあげたら、と言う意味らしい。

左馬介は小さく笑みを返すと源吉の方に向き直った。

そして、ちょうど視線を戻そうとしていた源吉に向かって

左馬介はスッと右腕を突き出し、言った。

「見てみるか」

「えっ?」

源吉はわざとらしく汗を拭く手を止め、驚いた表情で左馬介の方を見つめる。

「ずっと気になっていたんだろ。」

「いや、あしは別にその・・・」

と源吉はバツが悪そうに手拭いを左右に振って否定した。

が、すぐに「え、えいが?」と身を乗り出し、篭手に顔を近づけた。

「へえ、何だか不思議な形をしゆうねぇ・・・これ重そうやけど、外さないなが?」

源吉は恐る恐る手で触れながら上目がちに尋ねた。

「重くはない。それにこれは外せないのだ」

そう言うと、左馬介は腕を捻って源吉に篭手の裏側を見せた。

篭手からは太い爪のような物が出ており、左馬介の腕に深く食い込んでいる。

そして皮膚は褐色に変色し、半ば篭手と同化していた。

「な、何だか生きちゅうみたいやき・・・」

すると、かえでが横から、

「それには、あの『幻魔王』信長の魂が閉じ込められているのよ」

と、まるで子供が悪戯をするときのような笑みを浮かべて言った。

それを聞いた源吉は

「・・・えっ、そうながかぇ左馬介様!!?」

と慌てて篭手から手を離しあとずさった。

左馬介がその姿に苦笑しつつ頷くと、

「それなら先にゆうとおせよ、祟られたちどうするがなが。

 左馬介様もかえで様も、お人がわりぃ・・・」

そう言いながら源吉は触るんじゃなかったというような顔をし、

先程よりも量の増した顔の汗を今度は本気で拭き始めた。

流石に、もう彼の目は篭手の方に向いていなかった。

「冗談だ、心配するな。触っても祟られる様な事はない。・・・おい、かえで。

 あまり脅かすような事を言うんじゃないぞ。源吉は大事な案内役なんだからな」

左馬介は普段の彼から離れた様な・・・いや、むしろこちらが本来の左馬介か・・・

優しい口調で二人をたしなめた。

「ごめんね、源吉さん」

そう言いながら、かえでは口元に手を当て必死で笑いを堪えていた。

そんな彼女を見て、左馬介は今更ながら気がついた。

 

 −そういえばこんなに笑ったり軽口を言ったりする明るいかえでを

  今まで見た事がなかった。

  あの頃とは違い、今は幻魔も姿を消し、天下も秀吉の時代へと大きく変わろうとしている。

  もはや、かえでが抜け忍として追われる事はないだろう。

  彼女は長い時を経て自分と再会し、またこうして一緒に居られる事を心の底から

  喜んでいるに違いない−


無論、左馬介自身も同じ思いだ。

だが同時に、これが阿児のお陰なのかと思うと彼は胸が痛むのだった。

これからもかえでとの幸せを感じる度に、左馬介は阿児の事を思い出すだろう。

「じゃ、そろそろ行こうやか」

源吉はよいしょと立ち上がると、尻に付いた土を両手ではたいた。

どうやら、彼も少しは機嫌を直してくれたようだ。



太陽が真上に来る頃、ようやく一行は龍河洞のある山の麓に辿り着いた。

見上げると、露出した岩肌に横に長い穴が大きく開いている。

更にそこまで続く道を登りきり大穴の前に立ってみると、それ自体には奥行きはなく

その中の右側に更に奥に続く穴があり、そこからは冷たい風が絶えず吹き出していた。

「左馬介様ぁ、こりゃあーまっこと歩いては進めやーせんよ」

源吉が色んな角度から奥を覗きながら言う。と、

「・・・あら、これは何かしら?」

かえでが大穴の左端を指差した。

そこには龍の頭をかたどった像が安置された祠があった。

左馬介はそういう事か、とその祠の前に立ち石像に篭手を近づけてみる。

すると龍の目が輝き、祠全体が低い音を立てながら右に動いた。

そして、それがあった場所に新たな洞窟の入り口が現れた。

「ど、どうやったがながこれ?」

源吉の目は皿のようになっていた。

が、左馬介は説明しても理解できないだろうと思ったのでそれには答えず、

「ここからは俺とかえでの二人で行く。すまんが源吉、お前は此処で待っていてくれ」

「ええもう、そうさせてもらいます。あしはこういうのは苦手なもき」

そう言うと源吉はそそくさと右側の穴の前に行き、襟を開いて穴から吹く風で涼をとり始めた。

「行くぞ、かえで」

「ええ」

左馬介が篭手をかざすと、同時に洞窟内に備え付けられていた灯りに一斉に火が付いていく。

そして二人は、その光に誘われるように洞窟の奥へと歩を進めていった。

後ろから「お二人とも、お気をつけてぇ」と叫ぶ源吉の声が僅かに聞こえた。


洞窟は鍾乳洞だった。

奥へと続く道には、左馬介たちを導くように小さな灯りが等間隔に灯されている。

その微かに揺れる光が様々な形の鍾乳石を照らし、影を作る事で

洞窟の内部に幻想的な世界を作り出していた。

どこかに地下水が流れているのか、滝の音も聞こえる。

空気はひんやりしていたが湿度があるのか、歩いていると皮膚が徐々に汗ばんでくるのを感じた。

 

やがて洞窟の一番奥に着くと、そこにはこれまでも幾度となく見つけてきた、

鬼の篭手をかたどった封印柱が立てられていた。

しかし、今まで見てきたそれとは比べ物にならない程に巨大で、

身の丈のゆうに三倍はあろうかという大きさであった。

左馬介はおもむろに近づくと、魂を吸収する時と同じように篭手を突き出してみた。

・・・そうするように「彼女」に言われた気がしたのだ。

すると、篭手全体が淡く輝き始めた。

それはまるで、母の元で微笑む赤子の様に。

そして同時に篭手からは赤き魂が次々と吐き出されていく。

今まで篭手に封じられてきた幻魔の魂たちが、抜けていく。

その魂は封印柱の先端に次々と吸収されていき、それにつれて篭手の姿が退化していく。

命を喰らい、更に命を狩る為の姿から、本来あった姿へと。


やがて最後の赤魂を放出すると鬼の篭手は強い光を放ち、

そしてその姿を消した。

同時に封印柱の先端が赤く輝き始める。

全ての終わりを告げるが如きその暖かな光が、二人を包み込んでいく・・・

「ついに終わったのね、左馬介・・・」

「・・・ああ」

左馬介が大きく頷くと、かえでは彼に駆け寄り

『人間』へと戻った彼の右腕を両手でそっと握り締めた。


こうして、鬼の篭手を封印した左馬介は、かえでたちと共に龍河洞を後にした。

左馬介はもはや「鬼武者」ではなく、一人の侍となっていた。

そして、いずれかえでもその腕輪を外す時が来るであろう。

その時こそ、別々に流れていた二つの時間がやっと交じり合うのだ。

 

そして・・・

祠の上には、龍河洞から離れていく三人を見送る一つの影があった。

その影・・・鬼の精霊は男の背中に向い、静かに呟いた。

「左馬介よ、数々の苦難を乗り越え、よくぞ幻魔を討ち果たしてくれた。礼を言うぞ。

・・・そしてカラス天狗よ、お前にもな」

鬼の精霊は掌の上で胎児の様にうずくまって寝息をたてている少女にそう告げると、

紫の炎と共にその姿を消した。

 


その後、左馬介は長宗我部元親から才谷という地を与えられ、そこに彼は屋敷を構えた。

それを機に、彼は姓を『明智』からかつての城の名を取って『坂本』に改め、

彼とその子孫は代々龍河洞を見守り続けた。

 なおこの約二五〇年後、彼の子孫から龍の名を持つ者が現れ、のちにこの国の時代の波を

大きく変えた事はよく知られている事実である。

 

 

 

 

 

 

 

<あとがき>

「鬼武者外伝」を最後までお読み頂き、ありがとうございました。

「鬼武者3」をラストまでプレイされた方はご存知の様に、エンディングで左馬介と阿児が

街道を歩いてゆくシーンがあります。

その街道の先に続く物語を(あるいは「鬼武者4」を)、プレイし終えた後にいろいろと

想像された方も多いと思います。

私の場合は、本能寺の変以後の、史実や伝説における明智左馬介秀満の行動に鬼武者の世界を

当てはめてみる事で、左馬介にこの後どんな出来事が起こるのかを考えてみました。

そして、その中にかえでが復活する可能性を見出そうと思いを巡らせているうちに、

この作品の構想が浮かんだのでした。(なお、この時はまだ新鬼武者の製作が発表される前でした)

しかし、なにぶん小説など書いた事のない素人が考えたものですので、分かりにくい部分も

あったかも知れません。ご感想・ご質問などがございましたら是非お寄せ下さい。

お待ちしております。

ちなみに、作品中に登場する「龍河洞」は、高知県に実在する天然記念物の鍾乳洞です。

高知に旅行の際には是非寄ってみて下さい。(外観等の様子は実物を基にしています)

 

最後になりましたが、

発表の場を提供して頂き、且つお忙しい中推敲ならびに各話にサブタイトルをつけて下さった

このサイトの管理人さん、

鬼武者シリーズをプレイされた事がないにも拘らず、私の小説もどきの原文と少ない資料や

説明で原稿作りに快くご協力下さったイクヱさん、

一読者としての感想や参考になる意見をいくつもくれた友人の熊本君、

そして応援して下さった読者の方、

皆さんのお陰で私の中だけの鬼武者完結編が、このような形あるものになりました。

この場をお借りして心よりお礼を申し上げます。

 二次小説原案者:i c o

 


 
     
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