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  第捌話 『仔細』  
 

 

二十二年前の永禄三年、稲葉山城で幻魔界から雪姫と夢丸を救い出したかえでは、

左馬介を助ける為に再び暗黒神殿へ引き返した。だが、かえでが戻ってみると神殿は既に崩壊

しており、瓦礫の中を必死に探すも遂に彼女は左馬介を見つけ出す事は出来なかった。

その翌年、彼女は光秀に乞われ彼の隠密となった。

時は流れて十六年後の天正四年、かえでは隠密として活動していた折に、左馬介らしき人物が

西国にいたという噂を耳にした。すぐさまかえでは光秀の許しを得て左馬介を探す旅に出た。

しかし、左馬介がいたというその場所に着いた時には彼は既に姿を消しており、その後も

彼の足取りはようとして掴めなかった。


更にその翌年、秀吉の西播上月城攻めに幻魔が従軍するとの情報を得たかえでは、そこに

左馬介が現れるに違いないと考え、上月城に向かった。


かえでが上月城下に到着すると既に戦闘は始まっていた。

左馬介を見つけ出すべく、かえでが幻魔軍と宇喜多広維軍が入り乱れる中に飛び込もうと

したまさにその時、まばゆい光と共に翼を持った身の丈一尺ほどの小さな少女が、かえでの

前に現れた。

「あんたが、かえでさんね」

「!?何者!!」

かえでは小太刀を抜き、身構えた。

「そんな怖い顔しないの。あたいは阿児。カラス天狗の一族さ」

「カラス天狗?」

「そう」

阿児はそのまま着地すると人の姿へと変化した。

「まぁ鬼の一族の補佐役ってところね。あたいたちは色んな力を持ってるからね。

 あたいも左馬介と一緒に幻魔と戦ったんだよ」

「左馬介と!それじゃあなた左馬介を知っているの!?」

かえでは身構えるのを止め、阿児に詰め寄った。

阿児は小さく両手でかえでを制すると、

「左馬介なら探しても此処にはいないよ」

と右手を左右に振った。

「いない、って・・・どうしてわたしがここで左馬介を探そうとしているのを知っているの?」

しかし、阿児はそれには答えず、

「今から五年後に、明智軍と秀吉軍が山崎で戦をするわ。その時坂本城に行けば、あんたは

 必ず左馬介に会えるよ」

「え、五年後・・・?」


かえでは彼との再会に一瞬ためらいを感じた。

何故彼女が未来の事を知っているかも気になったが、それよりも・・・

かえでは、左馬介が鬼の篭手の力によって歳をとる事がなく、

今も二十四歳の姿のままでいるという噂を旅をする中で聞いていた。

そしてかえではその年齢をとうに追い越してしまっていた。

その為彼女は、旅を続けながら自分が確実に歳を重ねていく一方で、いつまでも左馬介を

見つけられない事に常に焦りを感じていた。

阿児の言う通りだと、五年後には左馬介に会える。

だがその時、かえでは四十歳の姿で左馬介の前に現れるという事になる。

『左馬介に会いたい』その心に偽りは無かったが、

やはりかえでも一人の女である

 −左馬介は若さを失い変わってしまったわたしを見てどう思うだろう・・・−

 

そのことが唯一彼女に左馬介との再会をためらわせてしまっていた。


だが、阿児はかえでの心の内が分かっていたかのように、

「これを持っていきなよ」

と以前に鬼の精霊から手に入れた『ある道具』をかえでに差し出した。

それは赤色に輝く石がはめ込まれた南蛮風の腕輪だった。

「これを手首にはめておけば、左馬介の篭手と同じように幻魔の魂を封じたり、

肉体を 時の流れから開放する効果があるんだ」

かえでは小太刀を納め腕輪を受け取ると、それと阿児を交互に見ながら尋ねた。

「本当!?・・・貰っていいの?」

「うん・・・その代わり、あなたのそれをちょうだい」

そう言って阿児はかえでが左の髪につけている朱漆塗りの髪留めを指差した。

「これ?別に良いわよ、こんな物で良ければ」

かえでは髪留めを外して阿児に差し出した。

阿児はそれを受け取ると、胸元で大切に握り締めた。

そしておもむろに、かえでの全身を見ながら彼女の周囲を歩き始めた。

その姿を目に焼き付ける様に。

かえでは、阿児の不可解な行動に戸惑いながら、彼女を目で追いつつ尋ねた。

「えっと、阿児さん・・・だったわね。

 それにしてもあなた、どうしてわたしにここまで・・・」

「あたい、そろそろ行かなくちゃ!」

阿児は、かえでの言葉を遮るように言うと、一度目を伏せてから、

「左馬介に会ったら教えてあげて。『龍』の名が付く大きな洞窟が土佐の国にあるらしいの。

 そこへ行けば鬼の篭手を封印できるって。・・・うんん、あんたも彼について行って欲しいの。

 それから・・・あたいはもう戻らない、って伝えておいて。それで分かるはずだから・・・」

そう言い終わると、彼女の全身が淡く輝き始めた。

「わかったわ。それじゃ、わたしもここを離れる事にするわ。・・・何だかよく分からない

 けど、いろいろありがとう。近くには幻魔の大軍がいるから気をつけてね」

そう言うと、かえではその場を走り去った。

阿児は、かえでの後ろ姿を見送りながら、

「いいんだよ、かえでさん。あたいはそこに用があるんだから・・・」

そう呟くと、かえでから貰った髪留めを左の髪に着けて精神を集中し、全身をさらに強く

輝かせた。


自分が左馬介に出来る、最後の事をする為に・・・

 


 
     
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