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タイトル
  鬼武者鬼武者 小説  
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  第参話 『散華』  
 

 

左馬介は夢を見ていた。

それは今までに何度見たか知れない、五年前の「あの」悲しい出来事だった。


羽柴筑前守秀吉率いる幻魔軍団は、信長の命により中国攻略の手始めとして西播上月城を

攻めていた。

左馬介は城方の援軍である宇喜多広維の軍に加わり、いわゆる陣借りの形で幻魔と戦っていた。

そんな中、彼女は彼の前に突然現れた。

目の前の幻魔を両断すると同時に、更にその向こうから聞こえた幻魔の断末魔。

霧のような血しぶきが晴れた先に左馬介が見たのは、彼女だった。

「大丈夫、左馬介!」

「・・・かえで!?」

かえで。かつては左馬介の命を狙いながらも、その生き様に惹かれ、

抜け忍となってまで彼を支えた一途なる『くノ一』。


それは、彼が前幻魔王・フォーティンブラスを倒し、稲葉山城を去って以来の再会だった。

だが今はそれを喜び合っている場合ではなかった。幻魔は次から次へと現れては押し寄せてくる。

二人はロクに言葉を交わす事も出来ず、必死で幻魔と戦い続けていた。

しかし多勢に無勢、やがて宇喜多軍は徐々に押され始めた。

「!!」

そんな戦いの最中・・・かえでは一匹の足軽が左馬介の背に向けて矢を放ったのを目にした。

左馬介は目の前の幻魔を倒す事に精一杯で全く気付いていない。

「左馬介うしろ!」

叫ぶと同時にかえでは跳んだ。迷いなど微塵もなかった。


−間に合って・・・!!−


かえでの警告に、左馬介が目の前の幻魔の首を撥ねつつ後ろを向いたその時、

「うっ!!」

鈍い音。

そして鮮血。

「・・・・・・かえで・・・?!」

そこに見たものは、背中を矢で貫かれたかえでの姿だった。

「さまの・・・す・・・け・・・」

苦しみの中に左馬介が無事なことに安堵の表情を浮かべ、手を伸ばすかえで。

だが、その手が左馬介に届く前に、彼女はその場に崩れるように倒れた。

「かえでーっ!!」

左馬介は、彼女を左腕で抱き上げると幻魔の群れを睨んだ。

幻魔の一匹が左馬介に飛び掛る。

直後、幻魔の体は二つに裂けていた。

次の時、割れた血肉の合間から幻魔たちが見たものは、先ほどまで自分たちが見ていた

「男」ではなかった。

 

その髪は流れる刃の銀(しろがね)。

その全身から溢れる覇気は夜の帳(とばり)が如き紫。

その眼の輝きは月よりも深き紅(くれない)。

その神々しくも壮健なる姿、まさに『鬼』。

その「男」、人呼んで『鬼武者』と云ふ。


左馬介は有らん限りの力を振り絞り、右手一本で刀を振るい、かえでを守りつつ駆けた。

遮るものは全て斬り、障害は全て破壊し、彼女を安全な場所へと移すべくひたすらに走り続けた。

やがて、幻魔の群れも居ない戦場の片隅へと辿り着いた左馬介は人の姿に戻り、

かえでをそっと下ろすと、ゆっくりと上体を抱き起こした。

あれから十七年、かえでは既に三十の半ばを過ぎているはずだ。

しかし、間近で見る彼女は、むしろあの頃とは違う、大人の美しさを持っていた。

かえでは左馬介を視界の端に収めると彼に微笑み、何事か呟いた。

しかし、かすれて消えそうなその声を、彼は聞き取る事が出来なかった。

左馬介は問い返したが、彼女はそれに答えることなく・・・やがてゆっくり目を閉じた。

かえでの体を揺すりながら、左馬介は何度もその名を呼び続けた。

その声は、戦場から聞こえる怒声の中へと溶けていった・・・



「左馬介様、申し上げます・・・左馬介様!」

孫四郎の慌てるような声で夢から覚めた。

「・・・・・いつの間にか眠っていたか・・・」

そう言って立ち上がろうと片膝を立てた時、手にしていたはずの髪留めが目の前に落ちて

いる事に気づいた。

それが自分からは随分離れた所にあったので左馬介は妙に思ったが、

再び障子の向こうから孫四郎が呼んだので急いで髪留めを拾い上げ懐にしまうと、

それ以上そのことを考えることはしなかった。

「どうしたんだ」

先ほどから落ち着かない孫四郎に問いかけると、障子がガタガタと慌しい音を立てて開き

強張った表情の孫四郎が現れた。

「申し上げます!!」

その報告は、左馬介を絶句させるに充分な威力を持っていた。


『幻魔の大軍が突如安土城に現れた。我が軍は直ちに幻魔討伐へ向かう。

 ついては早急に加勢を命ずる。』


京に居る光秀からの報せであった。

左馬介は耳を疑った。

安土城にいた幻魔は時のねじれによって、

五百年後の未来からやって来た『もう一人の鬼武者』ジャックと、

鬼軍珠で呼び出した鬼の軍兵たちが全て倒した筈だった。

そして信長はこの篭手に封じ込めている・・・では何故大量の幻魔が、また新たに出現したのだ?

疑問は多かったが、今はそれを考えている時ではない。

左馬介は安土城へ向かうべく自ら具足を鎧櫃(よろいびつ)から出し始めた。

そこでふと、あることに気づく。

「そうだ孫四郎、阿児はどうした?」

「いえ、存じ上げませんが・・・そ、それより左馬介様、信長は死んだのではないのですか?

も、もう幻魔は現れないはずでは・・・!?」

孫四郎は怯えきった顔で問い返した。

「・・・孫四郎」

左馬介は質問に答える代わりに、自分の愛馬・大鹿毛を二の丸の馬屋から本丸の船着場に

回して船を手配しておく様に指示した。

左馬介は具足を着け終え掛台から愛刀を取ると本丸の熙子のもとへと駆け、安土城に向かう

旨を告げた。

そして返事も聞き終わらぬ内に踵を返し、船着場へと急いだ。



船着場には既に大鹿毛をつれた孫四郎が待機していた。船の用意も済んでいる。

左馬介が大鹿毛と共に乗り込むと、

「ここに来るまでに城内の何人かに阿児様の行方を訊ねてみましたが、生憎知っている者は一人

もおりませんでした」

と、孫四郎は申し訳なさそうに告げた。

「・・・そうか。阿児が戻ったら急ぎ後を追うよう伝えてくれ。ご苦労だったな、孫四郎」

「はい。お気をつけて、左馬介様!」

左馬介が船漕ぎたちに目で指示すると、船は対岸へ向けて走り始めた。


やがて琵琶湖を横断し対岸へ着くと、今度は大鹿毛を走らせ安土へと急いだ。

暫く湖の東を北上していると、左馬介の目前に丸い光が現れた。

阿児が戻ってきたのだ。

「阿児・・・いったいどこへ行っていたんだ」

「ごめん、ちょっと野暮用。それより、安土城の事だけど・・・」

左馬介は誤魔化されたことに気づきながらも、今ある現実の問題を優先した。

「ああ・・・。安土城の幻魔は確か“もう一人の俺”が鬼軍珠を使って全滅させたんだったな?」

「うん、間違いないよ。ジャックと鬼の軍兵が全部倒し・・・・・あっ!!」

阿児は突然両手を口元に当て、目を見開いた。

「安土城は・・・」

「!? 安土城がどうした?」

「安土城の建物、それ自体は巨大な幻魔の頭の一部で、本体はまだ地中深くに潜んでるんだ・・・」

「何だと・・・!?」

左馬介の眉間に皺が寄る。

−そうか、そいつが内部で幻魔を生み続けているに違いない−

左馬介は大鹿毛を更に急がせた。

 

その鼓動は戦への覚悟と先ほどの夢で静かに彼の胸を響かせていた。


 
     
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