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タイトル
  鬼武者鬼武者 小説  
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  第弐話 『恋風』  
 


太陽 が真南に位置する頃、左馬介たちは坂本に到着した。

阿児は目立たつことがない人の子の姿となっていた。

左馬介たちはまず、坂本城の本丸にある光秀の館へと向かった。

彼の正室である熙子(ひろこ)に、本能寺急襲の成功を報告するためである。



館に着いた左馬介たちは熙子に会い、光秀が信長を討ち果たし、残党狩りを行っているため城への帰りが遅

くなる旨を告げた。熙子は胸を撫で下ろし、左馬介に感謝と労いの言葉を述べた。


左馬介は熙子の部屋をあとにし、館を出て城内の懐かしい顔触れと言葉を交わした後、阿児とともに三の丸

にある自身の屋敷へと足を向けた。

屋敷と言っても彼が普段そこで暮らしている訳ではなく、幻魔との戦いで常に日の本中を駆け回っている

左馬介のために坂本滞在時用に光秀から提供されていたものであり、事実、建てられてから五年は経つも

のの、左馬介がその屋敷に入るのはこの日が初めてだった。

そのため、屋敷の中には必要最低限の物しか置いておらず、一武将の住居としては似つかわしくない殺風

景な空間と化していた。

もっとも、それは左馬介の希望でもあったのだが・・・。


「お待ち申し上げておりました、左馬介様」

門の前で、左馬介たちを一人の若者が出迎えた。

「私、熙子様より左馬介様のお世話を仰せつかりました孫四郎と申します。この度の御戦勝おめでとう

ございます。さ、どうぞ中へ」

「ああ」

左馬介は腰の大小を孫四郎に預けると、彼に導かれるまま阿児とともに屋敷の奥へと進んだ。

真新しい木のにおいがまだ幾分残る屋敷の中は、思いのほか涼しかった。

予め孫四郎が屋敷のおもてに打水をし、障子を開け放って風が通るようにしていたからである。

そのことに対して左馬介は気の利く男だなと感じた。

 

案内された部屋は、廊下を挟んで庭が望める場所にあった。

孫四郎は刀を掛台に収めると左馬介の前で一礼し、仁王立ちになった左馬介の具足の紐を解き始める。

左馬介は彼が作業しやすいように両腕をやや上げた状態のまま、首だけ阿児の方へ向けると、

「俺はまだ少し用がある。すまないが、お前は暫く城の見物でもしていてくれ。天守からの眺めは格別だぞ」

と言った。

阿児は少し不満な顔をしたが、考えてみれば元々彼は明智家の重臣なのだからと諦め、言われたとおりにした。



織田信長を討ち果たしたとの報せは既に城内に知れ渡り、様々な話が飛び交っていた。

本丸に一歩足を踏み入れた瞬間、阿児は大きな影に包まれた。

左馬介が身を置いていた、そして光秀がいまだ戦い続けている戦の一部始終を『左馬介と共に戦った少女』から

是非直に聞かせてもらおうと、城の者たちが彼女を取り囲んだのだ。

阿児は彼らの求めに応じ自分たちの活躍を話していたが、皆がたびたび感嘆の声を上げるものだから、

そのうちにだんだんと調子が乗ってきていた。


そんな中。

「ところで、阿児様は左馬介様をどう思われているのですかねぇ?」

家人の一人が、そんなことを言い出した。

それを聞いて若い女中が目を輝かせて阿児に訊いてきた。

「ずっと一緒に戦ってこられたのですから特別な感情もあるのではないですか?」

「ん〜、もうちょっと愛想が良かったら惚れていたかもね〜」

とぼけるように阿児がそう答えると、周りの家人たちが一斉に笑い出した。

阿児も一緒になって笑っていたが、心の中では


−やっぱり自分たちは似合いなのかも!−

と満更でもない様子で喜んでいた。

ますます上機嫌になった阿児は、噂になっている彼女の不思議な力について訊かれると、

「じゃあ、特別に見せてあげるよ!あたいは色んな力を持ってるんだ!!」

阿児は腰に手を当て得意げに言い放つと、皆の前で実際に様々な能力をやってみせ始めた。

ある者には時間移動の能力で過去に戻り、無くし物を取ってきてあげたり、またある者にはかつての

仲間・アンリにした様に、死別した肉親の形見から残留思念を読み取り、魂を呼び起こしたりもした。

「あと、こんな事もできるよっ!」

そう言って、阿児は目の前の女中をじっと見つめだした。

目と鼻の距離まで接近され、女中が戸惑いの声を上げる。

「あ、あの・・・きゃ!?」

突然、阿児の身体が光に包まれる。

光が止んだ時、そこには同じ姿形をした二人の女中が立っていた。

「どぉ?普段はあんまり使わないんだけどね〜・・・って、あら?」

周りを見ると、ある者は腰を抜かし、ある者は突然の光の方に驚いて気絶していた。

阿児は流石にちょっと調子に乗りすぎたかな、と少しばかり反省した。


その後も阿児は城内の何処に行っても同じように質問攻めに遭った。

阿児は少々うんざりしてきたので、適当に彼らと話し終わると今度は近くの物陰に隠れた。

そして周囲に人が居ないのを確認すると、本来の姿・・・カラス天狗に戻り、

坂本城の天守の屋根に向かって飛び上がった。

屋根に降り立つと、両のこぶしを突き上げ、伸びをひとつ。

「んん〜〜〜、風が気持ち良い・・・ん?」

目を開けると、阿児の前に広大な湖が現れた。

坂本城のすぐ東側は琵琶湖なのである。

その海と見紛うばかりに視界いっぱい広がる湖面は陽の光を反射して、まるで砂金を散りばめた

ようにきらめいていた。

本丸を囲い込むように三重にめぐらされた堀は湖と直接繋がっており、城の者だけでなく

町の人々もそれを利用しているのか、何艘もの商船や漁船が出入りしていた。

左馬介の言っていたとおり、そこから見る景色は素晴らしいものだった。


阿児は暫くの間、眼下の美しい風景を眺めていたが、やがてその場に胡坐をかいて座ると

はぁ、と溜息をついた。


―やっぱり、いくら景色が綺麗でも一人じゃつまんないなぁ・・・−


阿児は目の前にある瓦の一枚を見るともなく見ながら思った。

だが、やがて「そうだっ!」と阿児は立ち上がった。

彼女は、さっき城内で回りきれなかった所や、湖の周辺などを左馬介に案内してもらう事を

思いついたのだった。

左馬介と一緒なら、彼に遠慮して人が集まってくる事もないだろうし、何よりも楽しい。

それに、もうそろそろ左馬介の用も済んでいる頃だろう。

阿児は地上に降りて再び人の姿に戻ると、左馬介の屋敷へと向かった。



屋敷に上がり、鼻歌を歌いながら廊下を歩いて先程の部屋の前に立った阿児は

「左馬介、もう用は済んだかい?」

と声をかけながら勢いよく障子を開けた。

が、肝心の左馬介はというと、壁にもたれて仮眠中であった。

「もぉ!」

阿児は一瞬機嫌を損ねたが、彼のここ一日・・・時空を越えていたのも含め・・・の過酷さを考えれば

無理も無いかな、と思い直し、暫くそっとしておこうと踵を返した。

「・・・ヵ・・・・・・」

ギョッとして振り向く。

左馬介の声だ。寝言のようである。

それにしては、随分と苦しそうな声だった。

不安になって覗きこんで見ると、様子がおかしい事に気づいた。

どうやら夢にうなされているようだ。

「左馬介・・・?」

阿児は心配になって彼に近づき、揺り起こそうと肩に手を伸ばしかけた。

と、左馬介の手から赤い何かが落ちた。

朱漆塗りの髪留めであった。

阿児は何故左馬介が女物の髪留めなどを持っているのだろう、と不思議に思ってそれを拾い上げる。

次の瞬間。

「!!!??」

身体中の血が逆流するような感覚が駆け抜ける。

阿児は髪留めを手にしたまま暫く呆然と立ちつくした。

それを着けていた女性の残留思念が阿児の手を通って一気に流れ込んできたのだ。

髪留めは、今はもうこの世にはいない、その女性の形見だった。

「・・・今の・・・・・・!?」

やがて我に返った阿児は、再び左馬介の顔を見る。

彼の目元には光るものが見えた。

そして左馬介は苦悶の表情で、先ほどは聞き取れなかった「その名」を口にした。

「かえで・・・・・・」

阿児はその時、左馬介が今どんな夢を見ているのかが分かった。

そして、彼に対する自分の想いは決して報われないのだと悟った。

阿児はゆっくり左馬介に背を向けると、打ちひしがれた気持ちで静かに部屋を出た。

そして後手で障子をそっと閉めると再び本来の姿に戻り、再び天守の屋根に向かって庭から

飛び上がった。

屋根の上に降り立つと湖に背を向けて座り、膝の間に顔を埋め、泣いた。


どれくらい時間が経ったのか。少し落ち着きを取り戻し、顔を上げてみる。

視線の先に小高い山、比叡山が見えた。左馬介と出会うきっかけとなった場所だ。

彼女は時折鼻をしゅんと鳴らしながら、暫くぼんやりとその山を眺めていた。

だが、やがて彼女は何かを決した様に立ち上がってふわりと浮き上がり、そして全身からまばゆい光を

放ち・・・消えた。

 

次の瞬間には阿児の目の前に鬼の精霊がいた。

「お願いが・・・あるんだ・・・」

彼女は一言、そう呟いた。

それは、『ある道具』を譲ってもらうため。

阿児は自分の想いを喉の奥から精一杯搾り出した。

懇願する阿児の強い心を察した精霊は、

「お前は本当にそれで良いのだな?」

と念を押し、彼女の前に『それ』を出現させた。

左馬介のためにどうしてもそれが欲しい。

阿児は両手で『それ』受け取ると、黙ったまま伏し目がちに頷いた。


 
     
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